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【今週の統計分析】労働力調査に見る最新雇用状況と購買力の変化 2024年7~9月期

はじめに


2024年11月11日に公表された労働力調査2024年9月分(詳細集計(2024年7~9月期平均))から、小売業や飲食業の経営者が知っておくべき最新の雇用状況や購買力、購買意欲の変化を簡潔に解説します。経営や販促戦略に役立つポイントをわかりやすく整理しました。
 
この記事の典拠元:労働力調査(詳細集計)
本記事は総務省が実施する「労働力調査(詳細集計)」をもとに作成しました。この調査は、国内の雇用状況や失業率、労働力の活用状況を詳細に把握するため、広範なデータを収集・分析するもので、経済活動や消費動向を読み解く上で重要な指標となります。本記事では、2024年7~9月期の最新調査結果をもとに、正規・非正規雇用の推移や未活用労働指標の動向を中心に解説し、小売業・飲食業の経営者や販促担当者が活用できるポイントをお届けします。
 

Topics


正規雇用者の増加が示す購買力アップの兆し

2024年7~9月のデータによると、正規雇用者数は前年比39万人増の3656万人と、6期連続で増加しています。一方、非正規雇用者数は前年比17万人減の2116万人と11期ぶりに減少。安定した所得を持つ正規雇用者の増加は、消費者の購買力を押し上げる可能性が高いと言えます。

非正規雇用者の減少理由

非正規雇用者が減少している主な理由として、以下の要因が挙げられます。
  • 「家計の補助・学費等を得たい」:前年比25万人減少
  • 「自分の都合のよい時間に働きたい」:前年比6万人減少
これらのデータは、非正規雇用の魅力が低下していることを示しており、安定した収入を求める人々の傾向が強まっていると言えます。

失業者数の改善と購買意欲への影響

失業者数は196万人と前年比7万人減少しました。特に注目すべきポイントは以下の通りです。
  • 短期失業者(3か月未満):前年比4万人増
  • 長期失業者(1年以上):前年比11万人減
短期的に職を探す層が増加しており、転職意欲が高まっていることが見て取れます。この層は新たな収入源を得る可能性が高く、購買意欲の向上が期待されます。

未活用労働指標が示す雇用環境の改善

「未活用労働指標4(LU4)」は前年比0.3ポイント低下し5.9%となりました。この指標の改善は、失業者や追加就労希望者の減少を反映しており、雇用環境が整ってきていることを示しています。

購買意欲を左右する非労働力人口の動向

非労働力人口(就業を希望しない人々)の減少(前年比15万人減)に対し、就業希望者も206万人と前年比20万人減少しました。一方で「適当な仕事がない」と答える人が減っているため、雇用機会が改善していることが考えられます。
 
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マーケティング戦略案:年齢層別のプロモーションが鍵

特に25~34歳層の追加就労希望者が減少傾向にあることから、この主要購買層をターゲットにした戦略が有効と推測されます。
  1. プレミアム商品の展開:所得の安定性を背景に、付加価値の高い商品を提案。
  1. 短期的消費促進キャンペーン:手軽に購入できる期間限定商品やサービスの提供。

まとめ


2024年7~9月期のデータは、正規雇用者の増加や失業率の低下が、消費者の購買力や購買意欲の改善につながる可能性を示しています。小売業・飲食業の経営者や販促担当者におかれましては、こうしたデータの活用による効果的なマーケティング戦略の立案をお勧めします。

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