ボーナスが出ても、売場は動かないことがある──2026年12月・2027年1月の販促を、いま設計する

公開日:2026/09/19

12月の販促計画を、賞与の支給を前提に組んでいないでしょうか。収入が増える月だから消費も増える。年末だから食品が動く。この前提は、前年のデータでは成立しませんでした。

本稿は、2026年12月と2027年1月の販促計画を、9月の時点で組み立てるための材料です。総務省統計局の家計調査と気象庁の気象データから、前年(2025年)の12月に何が起きたかを確認し、そこから2026年12月・2027年1月の設計にどう活かすかを整理します。記事の末尾では、12月の日程と週別の考え方をまとめたカレンダーをPDFで配布しています。

*本稿のもとになった連載「月刊販促設計」2026年12月号は、全3回ともnoteマネーにピックアップされました。

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先に断っておくと、これは「2026年12月にこうなる」という予測ではありません。天候も収入も、3か月前に正確に当てることはできません。しかし、条件が変わったときにどう判断するか、想定と違う動きが出たときに何を確認するかという枠組は、あらかじめ用意できます。本稿が提示するのは、その枠組です。

なお本稿で使う用語を先に整理しておきます。実質は物価の変動を取り除いた後の増減、名目は取り除く前の増減です。寄与度は、ある費目が全体の増減率を何ポイント押し上げた(下げた)かを示す値です。可処分所得は収入から税金や社会保険料を差し引いた、自由に使えるお金です。平均消費性向は、その可処分所得のうち何割を消費に回したかを示す割合です。

「ボーナス月だから伸びる」という前提を置いていないか

12月の計画は、たいてい他の月より強気に組まれます。賞与が出て、年末年始の準備があり、行事も集中する。売上が最も大きくなる月だから、予算も人員も販促費も厚く配分する。長く続いてきた考え方です。

しかし前年の12月は、この前提が成り立ちませんでした。収入は増えたのに、消費は落ちた。年末の食品需要は数字の上でプラスになりませんでした。しかも落ち込みは全体に広がったのではなく、特定の費目に集中しています。

「12月は消費が失速した」という一言でまとめてしまうと、何が起きていたのかを取り逃がします。まず事実を確認します。


2025年12月に何が起きていたか

全体の姿

2025年12月の消費支出は351,522円で、前年同月比は実質2.6%の減少、名目0.3%の減少でした。季節による変動を調整した前月比では実質2.9%の減少です。11月が6.2%の増加でしたから、大きく反落しました。

一方で、勤労者世帯の実収入は1,207,545円で、実質は横ばい(±0.0%)でした。可処分所得は1,010,407円で実質1.2%の増加です。世帯主の収入そのものは実質2.6%減と落ちていましたが、賞与が477,514円と大きく、月全体の収入水準を支えました。世帯主以外の収入も実質45.0%増と大きく伸びています。

平均消費性向は37.0%で、前年同月の38.9%より1.9ポイント低い水準でした。11月の82.3%から12月の37.0%への急落は、賞与によって収入が跳ね上がったことによる季節的な動きです。しかし前年の同じ12月と比べても下がっているという点が重要です。

整理すると、2025年12月は「収入は増えたが、消費に回す割合はむしろ下げた月」です。

増えた費目

教育は14.1%の増加でした。授業料等が13.0%増、補習教育が13.6%増で、寄与度はプラス0.43ポイントです。

教養娯楽は3.6%の増加でした。教養娯楽用耐久財が57.4%増(寄与度プラス0.22)と大きく伸び、楽器も17.0%増です。サービス面では国内パック旅行費が寄与度プラス0.41を示しました。

保健医療は5.3%の増加で、7か月連続の増加です。歯科診療代が寄与度プラス0.21と主な要因でした。

家具・家事用品は2.3%の増加でしたが、11月のプラス10.6%からは大きく鈍化しています。光熱・水道は1.2%の増加で、4か月ぶりに増加へ転じました。

減った費目

その他の消費支出は7.0%の減少で、寄与度はマイナス1.48ポイント。消費支出全体を最も大きく引き下げた費目です。寄付金が寄与度マイナス0.48、諸雑費全体でマイナス0.46ポイントを占めました。

自動車等関係費は7.1%の減少で、寄与度マイナス0.92ポイント。自動車等購入は前年比21.3%減です。11月にプラス148.1%と急反発した費目が、12月には急落しました。

食料は2.4%の減少で、寄与度マイナス0.78ポイントでした。菓子類が3.1%減、魚介類が3.5%減です。年末の食品需要が集中する月にもかかわらず、前年同月比ではマイナスに転じました。

被服及び履物は8.9%の減少です。11月のプラス7.5%から反転しました。洋服が14.8%減、シャツ・セーター類が2.5%減。和服は65.0%減ですが、この費目はもともと数字の振れが大きい点に注意が必要です。

住居は7.6%の減少で、設備修繕・維持の減少が寄与度マイナス0.53ポイントを占めました。

この「マイナス2.6%」は何で作られたか

その他の消費支出(マイナス1.48)、自動車等関係費(マイナス0.92)、食料(マイナス0.78)の3費目だけで、寄与度の合計はマイナス3.18ポイントになります。消費支出全体の実質2.6%減は、この3費目の落ち込みで説明できてしまいます。他の費目は総じてプラスに働いていました。

つまり12月は「消費全体が冷え込んだ月」ではなく、「特定の費目が大きく落ちて、全体の数字をマイナスに引き下げた月」です。自社が扱う費目がこの3つに含まれるかどうかで、この月の意味はまったく変わります。


視点1:収入と消費は、同じ方向に動くとは限らない

前年12月の最大の特徴は、収入が増えて消費が落ちたことです。可処分所得は実質1.2%増、消費支出は実質2.6%減。方向が逆を向いています。

平均消費性向が前年同月より1.9ポイント下がったという事実は、増えた収入が消費ではなく貯蓄に向かった可能性を示しています。賞与は出たが、財布は開かなかった構造です。

この関係は、実務上かなり重要です。販促計画を組むとき、賞与の支給額や支給時期は比較的早い段階で把握できます。そのため「収入が増えるから売れる」という前提を無意識に置きやすい。しかし収入が増えても、それが自社の売場に流れてくるかどうかは別の問題です。

【2026年12月の設計にどう使うか】
収入の見通しを、そのまま売上の見通しに変換しないことです。収入が増えるかどうかと、その収入がどの費目に向かうかは、分けて検討する必要があります。次の視点2が、その分け方にあたります。


視点2:「必要な支出」と「選ぶ支出」を分ける

前年12月に増えた費目と減った費目を並べると、性質の違いがはっきりします。

増えたのは教育、保健医療、教養娯楽です。このうち教育と保健医療は「必要だから払う」費目にあたります。授業料も歯科の治療費も、家計の都合で先送りしにくい支出です。

減ったのは被服、食料、その他の消費支出(寄付金・贈与金・仕送り金)でした。こちらは「選んで買う」あるいは「余裕があれば出す」性質の費目です。

収入が増えたにもかかわらず消費性向が下がった月に、必要な支出だけが残り、選ぶ支出が縮んだ。この構造は、賞与という一時的な収入が入っても、家計の選択が慎重なままだったことを示しています。

【2026年12月の設計にどう使うか】
自社の主力商品が「必要な支出」側にあるのか「選ぶ支出」側にあるのかを、まず決めることです。必要な支出側であれば、収入の増減にかかわらず一定の需要が見込めます。選ぶ支出側であれば、収入が増えても自動的には動きません。買う理由を提示できるかどうかが売上を左右します。同じ12月でも、この違いによって販促の力点はまったく変わります。


視点3:暖冬は「実需」を止める

前年12月は、全国的に気温が高い月でした。冬型の気圧配置が長続きせず、低気圧に向かって南から暖かい空気が流れ込みやすかったためです。降雪量も北日本・東日本・西日本の日本海側で少ない結果でした。

月平均気温は、北日本・東日本・西日本・沖縄奄美のすべてで平年より高いと気象庁が発表しています。11月が北日本・東日本・西日本で平年並みだったのに対し、12月は明確に高いほうへ変わりました。

旬ごとに見ると、次のような推移でした。

上旬は北日本で低気圧の影響がありましたが、暖かい空気が流れ込みやすく気温は高い水準でした。東日本・西日本と沖縄・奄美では前半を中心に冬型となって寒気が入った日もありましたが、高気圧に覆われた日も多く、太平洋側を中心に晴れました。降水量は東日本・西日本の太平洋側と西日本日本海側でかなり少なく、日照時間は東日本・西日本の太平洋側でかなり多い月初でした。

中旬は冬型が長続きせず、全国的に天気が周期的に変わりました。14日から15日には北海道付近で低気圧が発達し、北海道のオホーツク海側を中心に大雪となった所があります。しかし寒気の影響は一時的で、旬平均気温は全国で高い水準でした。

下旬は26日頃に冬型が一時的に強まり、北日本や東日本日本海側を中心に暴風雪や大雪となった所がありました。31日も北日本日本海側で大雪です。それでも旬平均気温は、北日本・東日本でかなり高い、西日本・沖縄奄美で高いという結果でした。

この気象条件のもとで、気温に連動する費目が明確に反応しました。被服は11月のプラス7.5%から12月のマイナス8.9%へ反転。家具・家事用品は11月のプラス10.6%から12月のプラス2.3%へ鈍化し、11月に64.0%増と大きく伸びた寝具類も落ち着いています。

ただし、この反転を暖冬だけで説明するのは正確ではありません。11月に前倒しで防寒物が買われた反動という側面も考えられます。暖冬による需要の減少と、前倒し購入の反動。この2つが同時に働いた可能性があります。

もうひとつ、天候で説明できる動きとできない動きの切り分けも必要です。被服の反転や家具・家事用品の鈍化は気温と結びつけて読めますが、自動車等購入の21.3%減は11月の急反発の反動であり、天候では説明できません。その他の消費支出の7.0%減も、贈与金・仕送り金という構造的な要因です。光熱・水道にいたっては、暖冬だったにもかかわらず1.2%増えています。電気・ガス料金の改定など、気温以外の要因が関わっている可能性があります。

この切り分けをしないまま「12月は暖冬だったから消費が落ちた」とまとめると、実際の構造を見誤ります。

【2026年12月の設計にどう使うか】
暖冬になるかどうかは事前に判断できません。判断できないものを当てにいくのではなく、暖冬になった場合の対応をあらかじめ決めておくことです。11月に動いた防寒商材の12月の販売強度をどう下げるか、気温に左右されない需要(クリスマス関連、年末の贈答、年始の準備など)へどう振り替えるか。この対応表を持っているかどうかが、現場の動きの速さを決めます。


視点4:11月と12月を、ひとつの年末商戦にしない

11月と12月をまとめて「年末商戦」として設計すると、月ごとの動きの違いを見落とします。

前年の11月は、寒気が入って防寒物の実需が動いた月でした。前年の12月は、暖冬でその実需が止まり、選ぶ支出全般が縮んだ月です。同じ「年末」でも、条件も結果も違います。

「11月に売れたから12月も売れる」という読み方は、前年には成立しませんでした。11月の被服プラス7.5%を根拠に12月の売場を維持・拡大していれば、実際のマイナス8.9%という結果と大きく乖離します。

気温に連動する需要は、気温という外部条件に完全に依存します。11月のプラス7.5%という数字が翌月も続く保証は、最初から存在しませんでした。

【2026年12月の設計にどう使うか】
11月の計画と12月の計画を、別の資料として作ることです。物理的に分けておけば、11月の実績が良かったという理由だけで12月の在庫や売場を積み増す判断が起きにくくなります。12月の判断材料は、12月の気象と11月からの反動の両方です。


視点5:2026年12月は、比較のベースが低い月になる

前年比は、前年の水準によって見え方が変わります。前年が低ければ、同じ実績でも高い伸び率になります。

前年12月に大きく落ちた費目は、2026年12月の比較の基準を低くします。被服のマイナス8.9%、自動車等購入のマイナス21.3%、食料のマイナス2.4%がこれにあたります。気温条件次第では、前年同月比でプラスに出やすい月です。

ただし「ベースが低いから今年はプラスになるはず」という読み方は危険です。2026年12月が暖冬か平年並みか寒冬かは、現時点では判断できません。正しい姿勢は「気温が下がれば動く準備を持っておく」ことです。

自動車等購入については、さらに注意が必要です。前年11月がプラス148.1%という極端に高い水準、前年12月がマイナス21.3%という低い水準。2026年の11月と12月では、比較の条件が真逆になります。交通・通信を含む関連費目の数字が月をまたいで大きく振れて見えても、それは前年側の事情であることがあります。

家具・家事用品も同様です。前年11月はプラス10.6%(寝具類プラス64.0%)と高く、前年12月はプラス2.3%と落ち着いた水準。11月は厳しい比較、12月は比較的穏やかな比較になります。ホームセンター・家具・家電の業態では、この違いを踏まえて月別の目標を置く必要があります。

【2026年12月の設計にどう使うか】
目標水準を設定する前に、前年の同じ月に何が起きていたかを費目単位で確認します。数字が高く出ても低く出ても、まず前年側の事情を確認してから評価する。この一手間が、12月の判断を誤らせないための備えになります。


3か月の流れで見る、5種類の費目

前年の10月から12月までを並べると、費目ごとに動き方の種類がはっきり分かれます。

代表費目

2025年10月

2025年11月

2025年12月

激しく振れる費目

自動車等購入

▲25.3%

+148.1%

▲21.3%

気温に連動する費目

被服及び履物

+6.3%

+7.5%

▲8.9%

定着して伸びる費目

保健医療

+3.6%

+2.6%

+5.3%

構造的に減り続ける費目

その他の消費支出

▲7.0%

▲7.0%

▲7.0%

日常消費の費目

食料

▲1.1%

+0.9%

▲2.4%

激しく振れる費目は、月をまたいだ動きが読めません。自動車等購入は3か月で急落、急反発、急落を繰り返しました。この型は、単月の数字から傾向を読み取ろうとしないことが原則です。

気温に連動する費目は、外部条件に素直に反応します。被服は10月下旬の急な寒さで動き、11月の寒気で伸び、12月の暖冬で落ちました。気象の流れとぴたりと重なっています。条件と結果の関係が明快なぶん、対応の判断も立てやすい型です。

定着して伸びる費目は、伸び率が上下しながらも増加が続きます。保健医療は7か月連続で増加し、12月は歯科診療代や年末の駆け込み受診も加わって、伸び率がむしろ11月より高くなりました。安定した軸として計画に組み込める型です。

構造的に減り続ける費目は、前年の後半にはっきりした型です。その他の消費支出は3か月続けて同じマイナス7.0%が並びました。中身は寄付金、仕送り金、贈与金といった、社会的な支出や世帯間のお金のやり取りです。年末に贈答が動くという一般論とは逆の動きで、この費目に期待を置く設計は成立しにくくなっています。

日常消費の費目は、大きくは動きません。食料は11月に小幅に反転したものの、12月には再び減少に転じました。年末需要が集中する月に落ちたという事実は、節約の基調が続いていることを示しています。

販促設計の出発点は、自社が主に扱う商品がこの5つのどれに当たるかを決めることです。これを決めておくだけで、月全体の数字を見て一喜一憂する誤りを避けられます。


2025年の1年を通して見えた構造

12月分の家計調査には、年間のデータも掲載されます。単月の動きだけでなく、年間の構造も確認しておきます。

2025年平均の消費支出は月あたり305,708円で、名目5.0%増、実質1.7%増でした。3年ぶりの実質増加です。ただし消費者物価指数(帰属家賃を除く総合)が3.2%上昇しており、名目と実質の差が大きい年でした。

勤労者世帯の実収入は月あたり653,901円で、名目2.8%増ながら実質では0.9%の減少です。2年ぶりの実質減少でした。可処分所得は月あたり532,408円で実質1.7%減。それでも消費支出は346,297円で実質2.7%増となり、3年ぶりに実質で増えています。

平均消費性向は65.0%で、前年の62.2%より2.8ポイント上がりました。

年間で見ると、2025年は「収入が実質で減るなかで、消費に回す割合を高めて支出を維持した年」です。12月単月の「収入増・消費減」とは方向が逆に見えますが、12月は賞与月という特殊性があります。年間を通せば、家計は収入の減少のなかでやりくりを続けた年だったと読めます。

この構造が続くとすれば、「景気が良くなれば消費も増える」という前提に依存した設計は機能しにくくなります。家計は収入の回復を待つのではなく、その時々の必要性で支出を選んでいる。実用性と必要性を軸にした販促のほうが、条件に合っています。


業態別に、この視点をどう当てはめるか

食品スーパー

前年12月の食料はマイナス2.4%で、消費全体を大きく引き下げた費目のひとつでした。年末年始の食品需要が集中する月にもかかわらず、前年同月比でマイナスです。菓子類がマイナス3.1%、魚介類がマイナス3.5%と落ちています。

この事実は、2026年12月の前提に直接効きます。「12月は食品が伸びる月」という一般論を根拠に販促予算を積み増す判断は、前年データからは支持されにくいと言えます。

売場の運用としては、食料の中でも気温に連動する項目(鍋物の食材、温かい飲料、冷凍食品など)と、年末の行事として動く項目(おせち食材、ごちそう系、菓子類など)を分けて扱うことが有効です。前年は暖冬でも年末需要が動くという前提が成立しませんでした。両方を同時に立てるのではなく、気温を見ながら比重を切り替える設計が現実的です。

ドラッグストア

保健医療は7か月連続で増加し、前年12月もプラス5.3%でした。暖冬でも伸びています。気温や暖冬・寒冬に左右されにくい、構造的な傾向として扱える費目です。

この安定性は、12月から1月にかけて継続展開する根拠になります。2027年1月にも感染症の本格化や年始の体調管理といった条件が重なり、需要の裏づけが続きます。

一方で、諸雑費は寄与度マイナス0.46と落ちており、寄付金の減少が目立ちます。この費目全体の数字から、日常的な化粧品や美容関連の需要動向を読み取ることはできません。保健医療を軸に据えつつ、気温が急に下がった週には風邪薬や防寒小物の対応を強める組み立てが取りやすい業態です。

ホームセンター・家具・家電・寝具

前年の家具・家事用品は、11月のプラス10.6%から12月のプラス2.3%へ鈍化しました。寝具類も11月のプラス64.0%から落ち着いています。11月に先行して動いた需要と、12月の落ち着き。この2つを分けて読む必要があります。

この業態にとって、11月と12月を別の月として設計する視点はとくに重要です。11月は高い比較基準、12月は穏やかな比較基準という条件の違いもあります。

運用面では、寝具・冷暖房器具・防寒商材といった気温に連動する商品について、寒気が入る週に売場の強度を上げられる体制を持っておくこと。そして11月の実績をそのまま12月に延長せず、12月独自の判断で強度を決めることが、前年データからの示唆です。

3業態に共通すること

共通するのは、月全体の数字と、自社が関係する費目の動きを分けて読む必要があるという点です。前年12月のマイナス2.6%は、3つの費目の落ち込みで説明できてしまいます。自社がその3つに含まれないなら、この数字は自社の実態を表していません。

そして「ボーナス月だから消費が伸びる」という一般論は、前年12月には当てはまりませんでした。収入が増えても、それが自社の売場に流れるとは限らない。この認識を持って2026年12月の設計に臨むことが、前年データを活かす第一歩です。


12月から1月へ:反動と初売りが同時に走る月

12月の設計は、1月と切り離しては組めません。12月に何が起きるかで、1月の動き方が変わります。

1月は2つの動きが同時に走る月です。ひとつは12月の年末消費からの反動。食料、被服、生活関連が落ち込む可能性があります。もうひとつは初売り、福袋、冬物のクリアランスといった新しい消費機会です。この2つを分けて設計することが、1月の判断軸になります。

前年データから、いくつか具体的な示唆が得られます。

保健医療は、2027年1月も継続展開の根拠が立つ費目です。7か月連続で増加が続いており、1月には感染症の本格化という条件が加わります。12月から1月を通した安定した軸として計画に組み込めます。

その他の消費支出は、逆に期待を置きにくい費目です。3か月続けてマイナス7.0%が並んだ贈与金・仕送り金・寄付金は、年始の贈答やお年玉、仕送りといった項目にそのまま関係します。ここに販促予算を積む場合は、前年の低い水準を前提に慎重に組む必要があります。

そして視点1の「収入が増えても消費が増えるとは限らない」は、1月にも当てはまります。賞与の残りや冬季の手当など、1月の収入は年によって変動します。収入の動向を消費の動向と自動的に結びつけず、費目ごとに確認する姿勢が必要です。


付録:2026年12月 販促設計カレンダー(PDF・無料)

本稿の内容を、12月の日程に沿って1枚に整理したカレンダーを配布しています。

冬至、クリスマス、給料日の集中、年末年始の準備といった12月の重要な日程を並べ、週ごとの推奨アイテムと施策のメモをまとめました。現場での週次確認にそのまま使える形にしています。

視点3で述べた「暖冬になった場合の対応をあらかじめ決めておく」という運用は、判断の基準と日程が1枚にまとまっていないと現場で回りません。このカレンダーは、その基準表として使うことを想定しています。

[PDFをダウンロードする]

sales_promotion_calendar_2612.pdf

まとめ:12月・1月の販促設計で、いま決めておく3つのこと

ここまでの内容を踏まえると、2026年12月と2027年1月に向けて、いま決めておくことは3つに整理できます。

第一段階は、費目の棚卸しです。 自社の主力商品が、激しく振れる費目・気温に連動する費目・定着して伸びる費目・構造的に減り続ける費目・日常消費の費目のどれに当たるかを決めます。あわせて、それが「必要な支出」側なのか「選ぶ支出」側なのかも整理します。この2つの分類が、以降のすべての判断の土台になります。

第二段階は、対応表の事前作成です。 気温に連動する費目を持つ場合、暖冬になった場合と寒冬になった場合で何をどう変えるかを、9月から10月のうちに決めておきます。12月に入ってから判断しようとすると、商品の手配も売場の変更も間に合いません。あらかじめ決めておけば、12月は条件を見て基準に照らすだけになります。

第三段階は、前年の中身の確認です。 目標水準を設定する前に、前年の同じ月に何が起きていたかを費目単位で確認します。前年が低ければ今年は高く出やすく、前年が高ければ今年は厳しく出ます。前年12月は多くの費目が落ちた月ですから、2026年12月は数字の上でプラスに出やすい条件が揃っています。その分だけ、実態との差に注意が必要です。


この記事の前提について

本稿で扱ったのは、総務省統計局「家計調査」の2025年12月分および2025年平均と、気象庁が公表する同月の天候に関するデータです。過去に何が起きたかを確認する作業であり、2026年12月に同じことが起きるという予測ではありません。

天候や収入の動向を数か月前に正確に当てることはできません。しかし、条件が変わったときにどう判断するか、想定と違う動きが出たときに何を確認するかという枠組は、あらかじめ用意しておけます。本稿が提示したのは、その枠組にあたるものです。


販促計画・市場分析のご相談について

当社は、公的統計と気象データ、そして小売業の現場で積み重ねてきた実務経験をもとに、年間・月間の販促計画の設計と、市場・消費動向の調査分析を行っています。

本稿で示した読み方を、業種・商圏・取扱商品に合わせた形に落とし込むには、自社の売上データと外部データを突き合わせる作業が必要になります。どの費目を軸に据えるか、どの週に何を確認するか、前年のどの数字を基準にするか。この設計を、貴社の条件に合わせて組み立てるところからご支援します。本稿と同じ手順を、貴社の業種・エリアに特化した形で毎月お届けする形でも対応しています。

ご相談の内容が固まっていない段階でも構いません。現在の状況と課題をうかがったうえで、対応できる範囲をご案内します。

お問い合わせはこちらから: https://satake-p.com/contact


本稿のもとになった記事

本稿は、当社が運営する「ミタカ販促設計ラボ」の連載「月刊販促設計」2026年12月号(全3回)を、1本の記事として再構成したものです。

第1回 ボーナスが増えても、なぜ消費は減ったのか https://note.com/mitaka_hansoku/n/ncacaad3aa79d

第2回 11月に伸びた冬物需要は、なぜ12月に失速したのか https://note.com/mitaka_hansoku/n/n92481cd5c26d

第3回 1月の販促は、12月の延長で考えていいのか https://note.com/mitaka_hansoku/n/n18b247f7a9c0

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