年末の食品支出は、品目と時期でどう違うか──2026年12月の販促計画を考える

公開日:2026/10/26

年末商戦の計画では、「12月の食品支出が前年より増えたか」だけでは判断できません。

同じ年末商材でも、支出が増えた品目と減った品目があります。また、月間では支出が減っていても、年末の数日間に支出が集中している品目や、クリスマス前後では前年を上回っている品目があります。

確認したいのは、どの品目に、いつ支出が向かったかです。さらに、今年の計画に使う際には、曜日と行事の並びも確認する必要があります。

本記事では、総務省統計局「家計調査」の2024年・2025年12月の日別支出を比較し、2026年末の食品販促を考える際の確認事項を整理します。対象は全国の二人以上の世帯です。

ここで扱う数値は、物価変動の影響を除いていない名目の支出額です。支出額の増減と、購入数量の増減は区別する必要があります。

年末商材への支出は、一律には動いていない

まず、年末の食卓に関係する品目について、1世帯当たりの月間支出額を比較します。

品目

2024年12月

2025年12月

前年比

もち

930円

1,053円

+13.2%

生うどん・そば

514円

538円

+4.7%

ぶり

506円

419円

−17.2%

かに

1,161円

924円

−20.4%

かまぼこ

858円

791円

−7.8%

ケーキ

1,418円

1,386円

−2.3%

もち、生うどん・そばへの支出が増える一方、ぶり、かに、かまぼこ、ケーキは前年を下回りました。

年末に関連する食品でも、動きはそろっていません。「年末商材」という一括した見方では、品目ごとの違いを見落としてしまいます。

ただし、この表が示すのは支出額です。増減の背景にある購入数量、販売価格、選ばれた価格帯の変化までは分かりません。

販促計画に使う際は、品目別に動きが異なっていた事実を押さえ、その背景を自店の販売数量、販売単価、容量別・価格帯別の実績で確かめる必要があります。

ぶり・かに・かまぼこは、年末5日間に支出の半分以上が集中

次に、2025年12月の支出が、月内のいつに集中していたかを見ます。

品目

月間支出に占める12月27~31日の割合

もち

45.4%

生うどん・そば

40.1%

ぶり

56.1%

かに

59.3%

かまぼこ

55.6%

ぶり、かに、かまぼこは、月間支出の半分以上が27~31日の5日間に集中していました。もちも、月間の約45%をこの期間が占めています。

月間では支出が減った品目にも、年末に支出が集中する特徴があります。

月間の前年比は、品目全体の支出規模を確認する材料です。一方、日別の配分は、商品供給や売場対応をいつ厚くするかを検討する材料になります。

月間支出が減ったことだけを理由に年末の展開まで一律に縮小したり、年末への集中度だけを理由に仕入れを増やしたりせず、規模と時期を分けて確認することが重要です。

集中度が高まっても、支出額が増えたとは限らない

ぶりでは、27~31日の支出が月間に占める割合は、2024年の約48%から2025年の約56%へ上昇しました。

しかし、この5日間の支出額そのものは、約243円から約235円へ減っています。

月間支出の減少幅よりも、年末5日間の減少幅が小さかったため、結果として年末の割合が高まりました。かに、かまぼこも、年末5日間の支出額は前年を下回っています。

品目

2024年12月27~31日

2025年12月27~31日

前年比

ぶり

約243円

約235円

−3.4%

かに

約643円

約548円

−14.8%

かまぼこ

約456円

約439円

−3.7%

※期間支出は日別の公表値を合計して算出。前年比は丸める前の数値から計算。

「年末への集中度が高い」と「年末の支出額が増えている」は、別のことです。

販促計画では、月間の販売見込みと、特定日に必要な商品量を分けて検討します。月間では慎重に見積もりながら、購入が集中する時期には欠品を避けるという対応も考えられます。

実際の数量は、自店の前年実績、予約状況、直前の販売動向、納品条件を踏まえて決める必要があります。

生うどん・そばは、大みそか当日だけで捉えない

生うどん・そばは、2025年12月の月間支出の40.1%が27~31日に生じています。

一方、31日単日の支出は59.82円で、月間に占める割合は11.1%でした。2024年も、31日単日の割合は11.2%とほぼ同じです。

また、30日の支出は、2024年が55.40円、2025年が57.61円で、両年とも31日と近い水準でした。

日付

2024年12月

2025年12月

30日

55.40円

57.61円

31日

57.63円

59.82円

大みそか当日だけでなく、その前からの支出も含めて年末の動きを捉える必要があります。売場や発注を検討する際にも、31日当日の実績だけではなく、年末数日間の販売推移を確認することが重要です。

なお、統計上の分類は「生うどん・そば」であり、すべてを年越しそばへの支出とみなすことはできません。

ケーキは、月間では減少しても23~25日は増加

ケーキについても、月間と特定期間を分けると見え方が変わります。

2025年12月の月間支出は1,386円で、前年の1,418円から2.3%減少しました。

一方、23~25日の3日間の支出は、2024年の約562円に対し、2025年は約588円でした。月間支出に占める割合も、約40%から約42%へ上昇しています。

期間

2024年

2025年

前年比

12月全体

1,418円

1,386円

−2.3%

12月23~25日

約562円

約588円

+4.7%

※期間支出額は整数に丸めて表示し、前年比は丸める前の数値から計算。

月間では支出が減っていても、クリスマス前後の3日間では前年を上回っていました。

これは、月間の前年比だけでは、催事前後の動きを十分に捉えられないことを示しています。ただし、購入数量の増加や、クリスマス向け商品だけの動きを示すものではありません。

自店の検証でも、12月全体の売上に加え、催事前後の販売数量や価格帯、予約分と店頭販売分を分けて確認することが有効です。

2026年は、行事までの日数と曜日を併せて確認する

比較した2年は、曜日の並びも異なります。

12月27日は2024年が金曜日、2025年が土曜日でした。クリスマスの25日も、2024年は水曜日、2025年は木曜日です。

2026年は、次の並びになります。

日付

曜日

12月24日

木曜日

12月25日

金曜日

12月26日

土曜日

12月27日

日曜日

12月31日

木曜日

2026年は、クリスマス直後の26・27日が土日にあたり、その後、木曜日の大みそかへ向かいます。

計画段階では、クリスマス向けの商品から年末・正月向けの商品へ、売場をいつ切り替えるかを確認しておきたいところです。切り替え時期は、商品の保存性や自店の販売状況を踏まえて判断します。

前年実績を比較する際も、日付だけをそろえると曜日がずれ、曜日だけをそろえると行事との位置関係がずれます。日付、曜日、行事までの日数を併記し、購入が集中した時期を確かめることが重要です。

品目ごとに、規模・時期・商品の内訳を点検する

今回の比較を、2026年末の販売数量へそのまま当てはめることはできません。活用したいのは、前年の増減率そのものより、計画を点検する視点です。

まず、品目ごとの販売規模を確認します。

自店の売上が増えていても、販売単価の上昇によるものか、数量の増加によるものかで対応は変わります。売上が減っている場合も、欠品や取扱商品の変更がなかったかを含めて確かめます。

次に、販売時期を確認します。

年末に支出が集中する品目では、月間目標に加え、日別の販売計画、納品、補充、値引きの判断を検討します。月間の商品量が適切でも、必要な日に足りなければ販売機会を逃します。

さらに、価格帯や容量を確認します。

同じ品目でも、少人数で使い切る商品と、大人数で食べる商品では用途が異なります。自店でどの価格帯・容量の商品が動いたかを確認し、統計では捉えきれない商品の内訳を補います。

購入が集中する時期と、情報を届ける時期は分けて考える

支出が年末に集中していても、商品を知り、比較し、購入を決める時期まで同じとは限りません。この日別支出表では、購入前にいつ情報を見たかまでは分かりません。

そのため、購入時期の集中を根拠に、告知や商品提案も同じ期間だけに絞ることは適切ではありません。

事前には、用途、人数、価格、保存方法など、選ぶための情報を提示する。購入が集中する時期には、買い忘れの確認や関連商品の提案、円滑な商品供給に重点を置く。こうした役割分担が考えられます。

早期展開の範囲は、予約実績や広告への反応、商品の保存性、自店の買い回りなどを踏まえて調整します。

前年の数字を、今年の計画の確認材料にする

2025年12月の食品支出は、品目によって異なり、月間と特定期間でも動きが異なっていました。

もちへの支出は増加しました。一方、ぶり、かに、かまぼこは減少しましたが、年末5日間に支出が集中していました。ケーキは、月間支出が減る一方、23~25日の支出は前年を上回りました。

生うどん・そばも、31日当日だけでなく、その前からの支出を含めて捉える必要があります。また、2026年は曜日の並びが前年と異なるため、行事との位置関係を併せて確認することが重要です。

前年の数字は、今年の数量を直接決める答えではありません。しかし、「年末商材だから伸びる」「前年に減ったから今年も抑える」といった一括した判断を点検する材料にはなります。

2026年末の計画では、品目別の規模と購入時期、暦の並びを確認し、自店の数量、単価、価格帯、予約状況を重ねる。そのうえで、いつ、何を、どの程度展開するかを具体化していくことが必要です。


使用したデータと計算方法

総務省統計局「家計調査 家計収支編」2024年12月分・2025年12月分、第6-16表「1世帯当たり1か月間の日別支出」のうち、二人以上の世帯の数値を使用しました。

月間支出額は表の「計」を使用し、期間支出額は該当する日別支出額を合計しています。期間割合は、期間支出額を月間支出額で割って算出しました。月間支出額には日付不詳分も含まれます。表示上の数値は四捨五入し、増減率や割合は丸める前の数値から計算しています。

数値は名目の支出額であり、購入数量や物価変動を除いた実質の増減ではありません。また、この日別支出表では学校給食など一部の品目が除かれているため、表中の「食料」の合計は、通常の月間結果の食料支出額と一致しません。

全国の二人以上の世帯の平均であり、単身世帯や個別地域・店舗の状況を直接示すものではありません。曜日の違いや標本調査による誤差にも留意する必要があります。2年分の比較から、長期的な傾向や増減の原因を断定することはできません。

本記事は、2026年末の消費動向を断定的に予測するものではなく、販促計画で確認すべき事項を整理したものです。

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